2030年までに地球が抱えるさまざまな問題を解決するために、国連が制定した持続可能な開発目標「SDGs」。
世界ではSDGsの目標達成に向けて取り組みが進められている中、「グリーンウォッシュ」や「SDGsウォッシュ」という言葉が広まりつつあります。これらの言葉の意味をひと言で表すと「エコに見せかけている」ということです。
見せかけのエコに騙されないためにはどうしたらよいのでしょうか。今回はグリーンウォッシュの事例や見分けるポイントについて解説します!
グリーンウォッシュとは、エコを連想させる「グリーン」と上辺だけを取り繕って中身をごまかすといった意味を持つ「ウォッシュ」を掛け合わせた造語です。
グリーンウォッシュはもともと1980年代にアメリカの環境活動家によって生まれた言葉で、環境問題に取り組んでいるように見せかけて、実体が伴わない企業や団体を指します。
例えば、何の根拠もなくエコや省エネをうたっている商品やサービスなどがそうです。また最近では、SDGsに取り組んでいるように見せかけている企業やビジネスに対して、「SDGsウォッシュ」という言葉が使われるようになりました。
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実際にグリーンウォッシュと指摘された事例を見てみましょう。
あるファッションブランドでは、サステナブルファッションとしてシリーズ展開したものの、環境に配慮した素材の含有量などの具体的な表示がされておらず、ノルウェーの消費者庁から指摘を受けるという事例がありました。
大々的にサステナブルファッションをうたうのであれば、どういう生産過程で作られているのか、本当に環境負荷をかけていないのか、きちんと消費者にわかるようにする必要があるでしょう。
あるファーストフード店では、イギリスとアイルランド全ての店舗でプラスチックストローを廃止し、100%リサイクル可能とされる紙ストローに切り替えました。
しかし実際は、紙ストローはリサイクルされることなく廃棄されていたことがわかり、多くの批判を受けました。
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ある日用品メーカーでは、「環境に優しいオムツ」とうたって製品を販売していました。しかし、実際には他のオムツ同様、石油由来の素材を使用しており、批判を受けました。
これらの事例はごく一部に過ぎません。世界では数多くの企業がグリーンウォッシュで指摘を受けているのが現状です。
企業側もイメージアップを図るために行ったことが、結果的にイメージダウンにつながり、消費者の信頼を失っていることを真摯に受け止めなければなりません。
グリーンウォッシュやSDGsウォッシュの問題は企業がリスクを負うだけでなく、消費者にも関わってきます。エコな商品だと思って購入したのに実は違っていたということは、消費者を騙したということに加え、環境問題の解決につながらないことも問題です。
また、最近では環境に配慮した活動を行う企業に投資する仕組みもあるため、不当な資金集めにつながる恐れもあります。
こういった問題を防ぐためにも、消費者の私たちがグリーンウォッシュであるかどうか、見分ける目を持つことが大切です。
ここではグリーンウォッシュを見分けるポイントについてお伝えします!
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あいまいな表現やわかりにくい専門用語を多用しているものは避けましょう。明確ではない言葉や表現、例えば「エコフレンドリー」などをうたうものは、環境に配慮された認証マークが入っているかどうか、確認してから選ぶようにしましょう。
工場から排出される汚染物質で川や海を汚しながらエコな商品を生産しているといったもの。生産過程の環境負荷まで配慮されているか、チェックする必要があります。
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環境に良いと印象づけるようなパッケージや写真、図などを使っている商品やサービス。そこに根拠や裏付けはあるのかをきちんと確認することをおすすめします。
まるで第三者が認証したかのように、自社で作ったラベルを表示している商品。「○○推薦」「○○認証」などのラベルは独自で作っているものもあるため注意しましょう。
エコでサステナブルな商品やサービスが増えている中、見せかけだけの取り組みに騙されないようにするためには、私たち消費者が見分ける目を持つことが大切です。
今回紹介したグリーンウォッシュの事例や見分けるポイントを参考に、気になる商品は自分から情報を収集することも必要です。
見せかけではなく、環境問題に真摯に向き合い、取り組んでいる企業は数多く存在します。ぜひ、そういった企業を応援し、環境問題の改善に力になれるよう、グリーンウォッシュを見分ける目を養っていきましょう!